建設業職人マガジン

建設業界には女性という人材が不可欠!女性の増加活躍を促す鍵とは

昨今建設業界では「女性技術者を増やそう!」と叫ばれています。しかしなぜ女性を増やさなければいけないか、考えたことはありますか?

 

社会的イメージがいいから?男女平等だから?どちらも違います。女性技術者を増やすのは女性という人材が建設業界に必要だからです。

 

女性が必要な理由を知れば、建設業界全体の問題が見えてきます。そして女性を増やす方法を知れば、それを解決する方法もまた見えてくるはずです。

 

単なる男女平等ではない!建設業界の女性の現状と必要な理由

建設業界の女性技術者は少ないイメージがあり、実際に一緒に働いたことはない方も多いかと思います。

 

ならば「女性技術者を増やすぞ」という前に、現状や女性の必要性を知り、なぜ増やすべきかを考えなければいけません。

 

建設業界における女性の現状

【参考:国土交通省 建設業における女性の活躍推進に関する取組実態調査

 

建設業界の女性就業者の多くは事務系職員で、技術者・技能者は1割に満たない状態です。

 

また総務省統計局 労働力調査によると、2020年現在建設業に従事する女性の総数は68万人、最多の医療・福祉業(591万人)、卸売・小売業(489万人)と比べても圧倒的に少ないのが現状で、イメージのみならずデータ上でも圧倒的少数になっています。

 

建設業界に女性が必要な理由

 

女性技術者の増加・活躍は業界にとって喫緊の課題です。が、女性を増やす目的は単に男女平等を推進するためではなく、女性が必要とされているからです。

 

その理由の1つに業界全体の人材不足が挙げられます。

人材不足に関する詳しい記事はこちら

 

少子化による人口減少のため、今後男性だけでは技術者のなり手がどんどん減っていきます。そうなれば将来長い熟練を要する職人が不足するのは必然です。

 

2つ目は女性ならではの利点があることです。実際、細やかで丁寧な仕事が求められる左官職人の世界では女性を比較的積極採用・育成している事例もあり、業界全体の技術向上が期待できます。

 

3つ目は女性が入ることで会社・現場、ひいては業界全体の労働環境の改善が見込めることです。

 

ある企業では女性が入社した際に女子更衣室ができました。すると男性技術者からも「男子更衣室も作ってほしい」と要望が出たのです。男性も着替えを見られたくはない。考えてみれば当然のことですが、古い慣習が残ったままの建設業界では意外とスルーされている要望です。

 

【出典:NEWSポストセブン 女性の割合1%に満たない左官職人 女性の進出で男性の労働環境改善

 

このように女性技術者の増加・活躍を推進すれば、ひいては業界全体の利益に直結していきます。

 

女性技術者の増加・活躍に必要なのは「長く働ける環境」

女性の増加・活躍を促すには具体的にどうすればいいんでしょうか?

 

もちろん既存の技術者や経営者の意識改革も必要ですが、2017年現在建設業界の女性の入職者に対する離職者の割合は66.7%。実に半数以上が離職しています。

 

【出典:国土交通省 女性の定着促進に向けた建設産業行動計画

 

つまり最も重要なのは女性の離職を防ぎ、長く技術者として成長・活躍してもらうことです。

 

産休・育休後に復帰できるようにしよう

 

女性が長く働くにあたり最大のネックは産休・育休後に復帰できないことです。

 

また復帰後も子供が小さいうちは保育園から会社に「◯◯ちゃんが熱を出したので…お母さんお迎えに来てもらえますか?」と電話がかかってきて、早退しないといけないときも…。

 

産休・育休制度の整備はもちろん、都合で現場を抜ける場合その穴を埋められるよう、個々の技術やタスク管理力も上げる必要があります。

トイレに更衣室…基本設備を整えよう

 

一見「長く働く」に関係なさそうですが、基本的な設備整備も重要です。

 

女子トイレがない、女子更衣室がないといった問題は仕事には直接関係ないですが、そのままにしておけば毎日蓄積していく問題でもあります。

 

「仕事がきつい」ならまだしも、「仕事は嫌じゃないけど、生理中も男性と同じトイレなんて耐えられない」などの理由で退職されてはもったいない!初期投資こそかかりますが、せっかく育てた人材に辞められるリスクを思えば安いはずです。

 

制度・設備だけでは足りない!本当に必要なのは成長である

家庭や体のこと、建設業界での女性の活躍を促すなら特有の問題に配慮する必要があります。が、これだけではまだ足りません。

 

女性の活躍を促すには、1人の技術者として成長できる環境の構築が大切です。

 

「女性だからすごい」は成長を阻害する

 

建設業界は男性社会というだけあって、体力を使う仕事が少なくありません。その中で女性が重いものを持ち、長時間の立ち仕事を担う場合もあると思います。

 

そんな時「女性なのに、他の皆と同じようにやっててすごいね〜!」とほめてしまう人がいます。ほめるのはいいですが「女性だから」という理由でほめていると、女性の技術者としての成長・活躍を妨げてしまうかもしれません。

 

1人の技術者として成長する環境が大切

 

女性が技術者として長く活躍するには本人の職人としての技術と意欲も不可欠です。

 

しかし「女性なのにこんなにやれてすごい」と言われ続けると「自分は女性だからこんなもんでいいか」と考えそれ以上成長できなくなってしまいます。また一方で「女性だからって言われたくない」と意欲を失ってしまう場合もあります。

 

過度に特別視せず、男女ともに1人の技術者として成長できる環境づくりをしていきましょう。

 

まとめ

・なり手不足や労働環境の悪さに悩む建設業界に女性は必要不可欠な人材

・女性の活躍を促すには家庭や体の特徴に配慮した制度・設備が必要

・1人の技術者として成長できる環境も大切

 

人口減少や労働環境の悪さなど、建設業界が抱える問題は山積みです。女性を増やせば最初は制度・設備の問題を解決しなければいけませんが、将来的には業界全体の利益になるはずです。

 

そのために女性を1人の技術者として育成出来る環境を整え、意欲・能力のある人を少しでも増やしていくほかないのです。

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技能実習制度についてまとめています。

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shokunin
はじめまして。 中卒貧乏職人の職人と申します。 FIREを夢見るアラフォーです。 現在は建設業の会社を1社とリフォーム関係の会社を1社運営しております。 建設業の会社は設立10年、リフォーム関係の会社は設立7年になります。 まだまだ若い会社ではありますが色々な経験をしてきました。 その中で知っておくと役に立つ知識や情報をこのブログで発信したいと思います。 私は現在でも職人として現場で働いているので「経営者目線」「職人目線」の両方の立場から知識や情報を発信できることが強みだと思っています。 このブログで私が発信した記事で少しでも建設業、リフォーム業の印象がよくなればと考えています。 また、職人になりたいと思っている方が一歩踏み出せるきっかけとなるサイトになればなおいっそう嬉しいです。